大阪大学大学院理学研究科附属フォアフロント研究センター大阪大学大学院理学研究科附属フォアフロント研究センター

フォアフロント研究部門

先端質量分析学研究プロジェクト

豊田 岐聡

革新的質量分析装置開発を基盤とした分野横断型研究を主導し,新しいサイエンスを切り拓く

本プロジェクトでは,様々な分野の研究者,ならびに産業界との密な連携により,マルチターン飛行時間型質量分析計(MULTUM)を核とした分野横断型研究を主導し,新しいサイエンスを切り拓くことを目指しています.また,次世代を担う独創的な高性能質量分析装置やイオン化法,検出器などの開発や,人材の育成も行なっていきます.

特色 FEATURE

「これまで見ることができなかったモノを観ることができるようにする」ような独創的・革新的な装置開発を目指しています.

独創的・革新的な装置開発により,新しいサイエンスの開拓を目指しています.

地球を取り巻く環境に存在する様々な原子・分子を網羅的に解析する「ジオミクス」により,過去,現在の地球環境を理解し,近未来の予測につなげることを目指しています.

代表者

豊田 岐聡

研究室HP

MOVIE

紹介動画

成果 RESULTS

研究成果

分野横断型の研究を推進

当プロジェクトでは,独創的/最先端な質量分析装置の開発と,それらを用いた応用研究を行っています.特に装置の「作り手」と「使い手」がうまく交流し,分野横断型の研究を推進することを目指し研究を進めています.主な研究テーマは以下の通りです.
(1) 小型マルチターン飛行時間型質量分析計を核とした分野横断型融合研究
豊田らが開発した小型でありながら高分解能が得られるマルチターン飛行時間型質量分析計の特徴を活かし,歯周病などの医療診断,土壌から発生するガスのオンサイトリアルタイム計測,惑星探査,揮発性有機物の網羅解析システムなど,様々な分野の現場(オンサイト)で計測を行うための開発・研究を進め,成果を上げてきています.
(2) 超高分解能イメージング質量分析技術(質量顕微鏡)
広い範囲を一度にイオン化し,マルチターン飛行時間型質量分析計で像を保持したまま高分解能質量分離後,検出器に像を結像させる,像投影方式のイメージング質量分析計の開発をおこなっています.特に,一細胞のイメージング質量分析技術の開発を進めています.
(3) 超高感度極微量質量分析システム
集束イオンビーム,フェムト秒レーザーとマルチターン飛行時間型質量分析計を組み合わせたTOF-SIMS装置を用いた同位体比測定法の構築を行っています.

マルチターン飛行時間型質量分析計MULTUM Linear plus
マルチターン飛行時間型質量分析計MULTUM Linear plus
今後の発展

これまでの技術では不可能であった新しいサイエンスへの展開

大阪大学の質量分析グループは,大阪帝国大学設立時に長岡半太郎初代総長が連れてこられた淺田常三郎博士の流れを汲む,非常に長い歴史と伝統を有しています.それらを継承しつつ,その時代に即した独創的な質量分析技術の開発とそれらを用いた応用研究を推進し,「これまで見ることができなかったモノを観ることができるようにする」独創的な装置開発を基盤に新しいサイエンスの開拓を目指していきたいと考えています.特に,マルチターン飛行時間型質量分析計の特徴を活かした,医療診断や環境計測,惑星探査などの現場(オンサイト)での高精度質量分析は,これまでの技術では不可能であった新しいサイエンスへの展開が期待されます.

「ジオミクス」の概念図.オンサイト質量分析により,地球を取り巻く環境に存在する様々な原子・分子を網羅的に解析し,生態圏の過去から現在までの変遷を読み解き,その素過程を明らかにすることを目指しています.
「ジオミクス」の概念図.オンサイト質量分析により,地球を取り巻く環境に存在する様々な原子・分子を網羅的に解析し,生態圏の過去から現在までの変遷を読み解き,その素過程を明らかにすることを目指しています.